西洋美術史 2008年度 (水2前期)
「キリスト教絵画史」
【科目の系列】 広域科目(基礎)
【年次】2年次 【学期】前期 【単位】2単位
【講義の目的】
ヨーロッパ世界における美術のさまざまなトピックを取り上げ、歴史的名作を中心に紹介しながら、西洋美術の専門的な議論にも立ち入って講述する。
今年度は、主として14世紀から17世紀のキリスト教絵画について講述する。西洋文化の重要な軸であるキリスト教が藝術の世界に及ぼした影響に焦点を当てて考えていく。なお、この講義では、時代順に作品を並べて解説する方法は採らず、聖書に記されたテーマ(画題)の順に、描かれた内容の意味を考究する。
冊子版への補遺
例年、私が担当する講義科目のうち、必ずどこかの時間で(最低でも1科目は)キリスト教西洋文化を紹介する講義を提供している。昨年度から引き続いて、今年度も西洋絵画の分野でキリスト教文化を扱う。日本という、世界の中でも非常に特異な文明圏のなかで生活している我々にとっては、必ずしも馴染みではない事柄がたくさん出てくるが、これも「異文化理解」への一つの手がかりであるから、多少分かりにくくても敢えて講述するつもりである。受講生諸君には是非とも、この講義を通じて異文化の一端に触れ、また講義以外でも、旅行に行って実物を見る等して、その豊かな文化を見聞きする経験を積んでほしい。
【講義計画】
序章:西洋文化史のなかの絵画
4月 9日 【第1回】 西洋絵画史の流れ 文化史におけるキリスト教絵画の位置づけ
第1部:旧約聖書の絵画
4月16日 【第2回】 創世記(1):天地創造、楽園追放
4月23日 【第3回】 創世記(2):カインとアベル、ノアの方舟、バベルの塔
5月 7日 【第4回】 創世記(3):アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフの物語
5月14日 【第5回】 出エジプト記(1):モーセ、エジプト脱出
5月21日 【第6回】 出エジプト記(2):「十戒」、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の特質
5月28日 【第7回】 出エジプト以後の旧約聖書:歴史書、預言書、諸書、外典
第2部:新約聖書の絵画
6月 4日 【第8回】 イエスの誕生:受胎告知、降誕、顕現
6月11日 【第9回】 イエスの受洗と公生活:洗礼、弟子の召命、奇跡物語、「新たな掟」
6月18日 【第10回】 受難(1):エルサレム入城、裏切りの予告、最後の晩餐
6月25日 【第11回】 受難(2):十字架の道行、磔刑、降架、埋葬
7月 2日 【第12回】 復活:「我に触れるな」、エマオの食事、昇天
7月 9日 【第13回】 聖霊降臨:聖霊と教会、使徒の働き
第3部:聖人たちの絵画
7月16日 【第14回】 聖人伝:『黄金伝説』と聖人たちの絵画、聖画像論争
【受講に当たっての留意事項】
講義時数3分の1を超えて欠席した者には、期末試験の受験資格を認めないので注意すること。
【教科書】(授業で常時使用する分)
千足伸行 『すぐわかる キリスト教絵画の見かた』 東京美術、2005
その他、必要に応じてハンドアウトを使用する。
【参考書】
講義中に適宜紹介する。
【成績評価の方法】
期末試験の成績によって評価する。
1.授業評価結果の概要(課題)
【評価する点】
○ キリスト教絵画について、とても有意義な講義を受けた。(多数)
○ キリスト教や聖書について詳しく説明してくれたので、これからキリスト教絵画を見るときに思い出したい。
○ 今まで触れたことのない未知の分野だったので、独特な感じの授業内容について行くのに少し苦労したけれど、理解できてくると面白さを感じることができるようになった。
○ 西洋美術史にはあまり興味がなかったが、授業を受けて絵の内容を理解していってさらに興味がわいた。授業内容が分かりやすいから、西洋美術史が面白いと感じた。
○ 教科書やプリントで勉強してから、スライドを見てさらに理解を深める方法はよいと思う。
○ 西洋文化の深いところについて、知らないことをいろいろ聞くことができて面白い。
○ 興味深い内容で、学習意欲がわいた。(多数)
○ 資料が多く用意され、とても分かりやすい講義だった。
○ 声の大きさ、聞きやすさ、進め方はどれも良かった。
【改善すべき点・コメント等】
(1) とても半年で勉強し尽くせる量ではないので、やはり通年科目にするべきだと思う。
(2) 期間の最初の方はじっくりと進んでいたので理解しやすかったが、後半のペースが少し速く感じた。
(3) 一つ一つの作品についてもっと詳しく聞きたいと思った。時間が限られているせいか、さらに深い説明を聞けなかったのが残念だ。
(4) (使用教室=325教室の大きさについて学生諸君の意見を求めたところ…)
この教室は横幅が長いのに縦が短く、スライドや映像を見るには狭いような気がする。(数名)
教室はちょうど良いぐらいなのではないか。(数名)
2.上記評価に関する教員の取り組み(授業改善策)
○ 多くの受講生諸君から好意的な評価をいただき感謝しています。この講義では、西洋のキリスト教文化について説明しつつ、キリスト教絵画を講義するという、盛り沢山でなかなかたいへんな試みをしていますが、学生諸君はよくついてきてくれて、有り難く思います。
【改善すべき点・コメント等について】
(1) 内容が多すぎるので通年科目でやるべきという指摘はその通りかもしれません。もっとも、現行カリキュラムではそうも言っていられませんから、セメスター制の枠組で調整するとすれば、講義内容(分量)をもっと絞るか、詳しい説明を省くかです。しかし、(3)のような指摘もありますので、説明内容を薄くするのは良くありません。従って、内容の深さを重視する方向で、今後の講義を考えたく思います。
(2) なるほど、これはとても有り難い指摘です。だいたい前半7週間(旧約聖書について講義していた頃)の進度と説明の具合が、ちょうど良いという意味ですね。これで今後のペース配分を調整したく思います。
(3) 半期では時間が少なくて、個々の作品について掘り下げが足りないという点は、その通りだと思います。やはり前のカリキュラムの時のように、通年で新約聖書の美術だけ、あるいは旧約聖書の美術だけというぐらいが、ちょうど良い分量なのでしょう。私自身も、今学期は話をしていて「食い足りない(話し足りない)」という感を強く持ちました。(あるいはそういう私自身の不満足感が伝わっていたか?以心伝心?) そこで、講義中にもお話ししたとおり、来年度に調整がつけば別の科目(たぶん藝術文化論)で、今学期のキリスト教絵画史概説の展開編をやろうと計画しています。
(4) たしかに教室は縦に長い方が、スライドは見やすいですね。縦長で視聴覚教材が使えるような、中程度の大きさ(60-70人位)の教室だとちょうど良いということになりますか。使用教室については、従来からの課題でしたが、今回の皆さんの意見を参考にして検討いたします。
(c) Motoaki Kato, 2008
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