大阪観光大学 観光学部
加藤素明研究室On Line
UPDATED: 24 March, 2009

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観光藝術学 2009年度 (金2前期)

藝術ジャンルの概観: 観光における藝術の諸問題

【科目の系列】 観光基礎科目
【年次】1年次 【学期】前期 【単位】2単位

【講義の目的】
 「観光における藝術の諸相」 この講義では、藝術のさまざまなジャンルについて代表的な作品を取り上げて紹介し、「藝術」という領域の広がりを概観するとともに、藝術に関わる観光事象の諸問題を検討する。
冊子版への補遺
 現在の観光事業を見渡せば、「観光資源である藝術作品」というのは要するに物見遊山のネタぐらいの意味でしかないように見受けられます。事実、近代市民社会以降、藝術作品は美術館・博物館・コンサートホール等で観客に提供するという形で展示されてきましたし、今日ではそれが蕩尽(浪費、無駄遣い)されているとも言うべき姿も、しばしば目にします。しかし、本講義では、こうしたでたらめな姿勢に対して慎重な立場をけっして崩すことなく、「藝術」という概念の、あるいは「作品」という概念のたどってきた歴史的な背景を視野に入れて、冷静な反省を加える場にしていきたいと考えています。


【講義計画】
【第1〜3回】 美術(絵画・彫刻・建築など)
 絵画・彫刻などの造形藝術について、フランスのルーブル美術館、オルセー美術館、ポンピドゥ・センターを取り上げて代表的な作品を紹介しつつ、ヨーロッパの伝統的美術と近代美術、現代美術の相違について講述する。併せて、観光を目的として作品を展観することの問題点を考察する。
【第1回】美術(1) ルーブル美術館:西洋のルネサンス美術、美術館観光と藝術作品の問題(1)
【第2回】美術(2) オルセー美術館:西洋の近代美術、美術館観光と藝術作品の問題(2)
【第3回】美術(3) ポンピドゥ・センター:西洋の現代美術、美術品展示の問題

【第4〜6回】 演劇
 舞台でのパフォーマンスを主とする藝術は、規模の多少はあれ、大勢の人々を一ヶ所に集めることを前提に営まれてきた。今年度は古代ギリシア劇の中からソポクレス「オイディプス王」を取り上げ、その上演の様子を見ながら、演劇というものが持っている祝祭としての側面について考察する。
【第4回】演劇(1) ソポクレス「オイディプス王」:祝祭と演劇
【第5回】演劇(2) ソポクレス「オイディプス王」:古典劇の上演方法
【第6回】演劇(3) ソポクレス「オイディプス王」:ギリシア悲劇と現代

【第7、8回】 日本の古典藝能(歌舞伎)
 日本の古典藝能は、日本人に愛好家が多いのは無論のこと、外国人にも熱烈なファンが多く、その魅力の源泉を探りに日本を訪れる人々も決して少なくない。この講義では、歌舞伎十八番から『暫』(しばらく)を取り上げ、その内容と特質を考察する。
【第7回】歌舞伎(1) 歌舞伎十八番「暫」(しばらく):歌舞伎の上演方法
【第8回】歌舞伎(2) 歌舞伎十八番「暫」(しばらく):歌舞伎の見方

【第9、10回】 日本の古典藝能(文楽)
 人形浄瑠璃文楽は、人形と義太夫(語り)と三味線の三業が一体となって織りなされる、大阪が生んだ世界に誇れる藝能である。講義では特に、文楽の本質とも言うべき太夫と三味線の働きに焦点を絞って講述する。
【第9回】文楽(1) 「心中天網島 北新地河庄の段」:人形浄瑠璃文楽の上演方法
【第10回】文楽(2) 「心中天網島 北新地河庄の段」:人形浄瑠璃文楽の見方

【第11〜14回】 パフォーミング・アート
 コンサートホール、劇場、あるいは野外において、何らかの形で上演を行う藝術ジャンルをパフォーミング・アート(表演藝術)と言うが、今日ではある種のイベント性を強く帯びる傾向が見られる。講義では西洋音楽のオペラを取りあげて、音楽と美術、演劇、そして舞踊が融合した総合藝術としての特質と、現代における上演形態の特質を考える。
【第11回】音楽・舞踊(1) オペラ: モーツァルト《フィガロの結婚》第1幕
【第12回】音楽・舞踊(2) オペラ: モーツァルト《フィガロの結婚》第2幕
【第13回】音楽・舞踊(3) オペラ: モーツァルト《フィガロの結婚》第3幕、第4幕
【第14回】まとめ: 観光事象と藝術鑑賞の問題



【受講に当たっての留意事項】
講義時数3分の1を超えて欠席した者には、期末試験の受験資格を認めないので注意すること。

【教科書】
特に指定せず、必要に応じてハンドアウトを使用する。

【参考書】
講義中に適宜紹介する。

【成績評価の方法】
期末試験の成績によって評価する。


1.授業評価結果の概要(課題)
【評価する点】
(1) 普段触れない事柄を学べて良かった。(多数)
(2) 内容が分かりやすくて、楽しい講義だった。(多数)
(3) オペラ・歌舞伎・文楽などヴィデオを使って分かりやすく興味がわいた。(多数)
(4) 日本の文化を理解するのに役立った。
(5) (美術の講義を聴いて)フランスに行ってみたくなった。
(6) 歌舞伎や人形浄瑠璃が面白かったので、是非生で見てみたいと思った。
(7) 藝術というものにさらに興味を持てるようになった。
(8) 講義の内容がだんだん好きになってきた。
(9) 参考資料を用いて興味を引き出してくれる楽しい授業だった。
(10) 第1回目に講義進行表を配布してくれるので、とてもよかった。
【改善すべき点・コメント等】
(11) 分からないことばかりで難しい。
(12) ときどきマニアックな(専門的な)表現が出てきて難しかった。

2.上記評価に関する教員の取り組み(授業改善策)
(1)〜(10)について
 多くの受講生諸君から好意的な評価をいただき感謝しています。映像資料を使いながら行う講義は、説明と上映の時間配分が難しいのですが、多くの受講生諸君が楽しんで見てくれていたようで安心しました。
 講義を聴いて実物を見に行きたくなったという声が多くて、とても嬉しく思います。是非、自分で美術館や劇場等に足を運んで、実体験をしてください。
【改善すべき点・コメント等について】
(11)について
 大学の講義ですから、 「分からないことばかり」なのは当然と言えば当然です。知っていることばかりだったと言われる方が、はるかに問題ですよね。 演劇や映画などを見るとき、講義で紹介しているような一定レベル以上の作品ならば、その内容を理解するには、目を使い、耳を使い、そして頭を使って、自分の感覚と知性を総動員する必要があります。内容について行くのは、そもそも簡単なことではありません。だからこそ、講義で取り上げているのです。是非ともがんばって講義についてきてください。
(12)について
 専門用語が出てくることも、まともな講義ならば当然の話です。専門性の強い単語については、講義中でも意識して説明するようにしていますが、それ以外にも学生諸君にとって未知の語彙が出てくることもあるかと思います。その場合は、講義中でも遠慮しないで「その言葉はどういう意味ですか?」と質問してください。 それから、私は同世代の日本人と比較してさえ、いささか古風な表現を好む傾向があります。自分ではほぼ無意識的に、難しい言い回しを使ってしまうことがありますので、その場合もどうか質問をしてください。

(c) Motoaki Kato, 2009